「いつか自分のキッチンカーを持ちたい」
初期費用を抑えて開業しやすいことから、キッチンカーに興味を持つ方も多いでしょう。しかし、「調理師免許は必要?」「どんな資格や許可を取ればいいの?」と疑問に思う方も少なくありません。
この記事では、キッチンカーの開業に必要な資格・許可の内容をはじめ、営業許可を取る際の注意点、調理師免許を持っているメリットまでわかりやすく解説します。
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キッチンカーの開業に調理師免許は必要ない

キッチンカーの開業に調理師免許は必要ありません。
調理師免許は、「調理師」と名乗るための国家資格(名称独占資格)であり、料理を作って販売するために必須の資格ではないためです。
調理師免許がなくても、必要な資格や営業許可を取得すればキッチンカーを開業できます。
なお、キッチンカーは飲食店の一種として扱われるため、開業には保健所の「飲食店営業」の許可が必要です。また、店舗ごとに「食品衛生責任者」を配置しなければなりません。
キッチンカーの開業で重要なのは調理師免許の有無ではなく、必要な資格や許可を正しく取得することです。
次の章で、キッチンカーの開業に必要な資格・許可を詳しく見ていきましょう。
キッチンカーの開業に必要な3つの資格・許可

キッチンカーを開業するには、「食品衛生責任者」と「飲食店営業の許可」が必要です。また、自分でキッチンカーを運転する場合は、自動車運転免許も必要になります。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業の許可
- 自動車運転免許(自分で運転する場合)
どれも特別に難しいものではありません。順番に、何のために必要なのかを見ていきましょう。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品を扱う営業施設に配置が義務づけられている資格です。食中毒などの事故を防ぎ、衛生管理を行う責任者として、キッチンカー1台につき1人の配置が必要になります。
この資格がなければ飲食店営業の許可を取得できないため、キッチンカーを開業するうえで欠かせない資格です。
取得方法は比較的簡単で、各都道府県の食品衛生協会などが実施する養成講習会を受講することで取得できます。試験はありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得方法 | 食品衛生責任者養成講習会を受講 |
| 講習内容 | 食品衛生学・食品衛生法・公衆衛生学(約6時間) |
| 受講料 | 1万円前後(地域により異なる) |
| 受講形式 | 会場受講またはオンライン受講(自治体による) |
講習を修了すれば資格を取得でき、有効期限はありません。
一度取得すれば全国で利用できるため、開業を決めたら早めに取得しておくとよいでしょう。
飲食店営業の許可
キッチンカーで食品を調理・販売するには、出店する地域を管轄する保健所から「飲食店営業」の許可を取得する必要があります。営業許可がなければキッチンカーを営業することはできません。
飲食店営業の許可は人に対して与えられるものではなく、キッチンカーの設備が衛生基準を満たしているかを確認したうえで、車両に対して与えられる許可です。
そのため、シンクの数や給排水タンクの容量など、車両の設備基準を満たしていることが求められます。設備の基準は自治体によって異なるため、事前に保健所へ確認しましょう。
営業許可の具体的な取得方法や注意点については、次の章で詳しく解説します。
自動車運転免許
キッチンカーを自分で運転して出店場所へ向かう場合は、自動車運転免許も必要です。
多くのキッチンカーは軽トラックや1.0〜1.5t程度の小型トラックをベースとしているため、基本的には普通自動車免許で運転できます。
ただし、普通自動車免許を取得した時期によって運転できる車両の重量が異なります。例えば、2017年3月12日以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満の車両に限られます。
キッチンカーは設備を搭載することで重量が増えるため、購入前に自分の免許で運転できる車両かを確認しておくと安心です。
キッチンカーの営業許可の取り方と注意点

キッチンカーの開業準備のなかでも、特につまずきやすいのが営業許可の取得です。
取得の流れと、事前に知っておきたい注意点を確認しておきましょう。
営業許可を取るまでの5ステップ
営業許可は次の流れで取得します。
- 保健所へ事前相談する
- 車両を製作する
- 申請書類を提出する
- 車両の設備検査を受ける
- 営業許可証が交付される
このなかでも、もっとも重要なのが最初の「事前相談」です。
キッチンカーの設備基準は、自治体によって細かく異なります。
給排水タンクの容量やシンクの数などの基準を確認せずに車両を製作してしまうと、「設備基準を満たしていないため許可が下りない」となり、車両を作り直さなければならないケースもあります。
こうした失敗を防ぐためにも、車両を製作する前に、必ず管轄の保健所やキッチンカー製作会社に相談しておきましょう。
メニューが多くても営業許可は1つでよい
「クレープやコーヒー、ホットサンドなど、複数のメニューを販売したい場合はそれぞれ許可が必要なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
2021年の食品衛生法の改正により、キッチンカーの営業許可は「飲食店営業」に一本化されました。以前のようにメニューごとに営業許可を取得する必要はありません。
ただし、どのようなメニューでも自由に販売できるわけではない点に注意が必要です。自治体によって、提供できる調理方法や必要な設備の基準が定められている場合があります。
販売したいメニューが決まっている場合は、事前に保健所へ相談しておくと安心です。
営業許可は自治体ごとに必要
見落としやすいのが、営業許可は全国共通ではないという点です。
食品衛生責任者の資格は一度取得すれば全国で有効ですが、営業許可は自治体ごとに取得する必要があります。これは、保健所の管轄が自治体ごとに分かれているためです。
例えば、東京都で営業許可を取得していても、神奈川県内で営業する場合は神奈川県側で営業許可の取得が必要になることがあります。
イベント出店や移動販売で複数のエリアを回りたい場合は、営業予定の自治体のルールを事前に確認しておきましょう。
HACCPに沿った衛生管理も必要
2021年6月から、すべての飲食店にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務化されており、キッチンカーも対象です。
小規模な飲食店やキッチンカーの場合は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を実施します。難しい制度に思えるかもしれませんが、基本的には衛生管理のルールを決めて日々記録する取り組みです。
例えば、次のような内容を管理します。
- 食材の保存温度を確認する
- 手洗いや器具の洗浄を徹底する
- 加熱時間や提供方法を決めて記録する
衛生管理計画の作成方法については保健所でも相談できます。営業許可の事前相談をする際に、あわせて確認しておくとスムーズです。
キッチンカーの開業で調理師免許を持っているメリット

調理師免許はキッチンカーの開業に必須ではありませんが、持っていると開業準備やお店の運営で役立つ場面があります。
主なメリットを紹介します。
食品衛生責任者の講習が免除される
調理師免許を持っていると、食品衛生責任者の養成講習会を受講しなくても申請だけで食品衛生責任者の資格を取得できます。
キッチンカーを開業するには、1台につき1名の食品衛生責任者を配置が必要です。通常は約6時間の講習を受ける必要がありますが、調理師免許があればその手間を省けるため、開業準備をスムーズに進められます。
お客さまからの信頼につながる
調理師は国家資格です。店頭やSNS、メニュー表などで「調理師が調理しています」と伝えられると、お客さまに安心感を持ってもらいやすくなります。
特にキッチンカーは、「衛生面は大丈夫かな」「どんな人が作っているのかな」と気にするお客さまも少なくありません。調理師免許を持っていることは、食の知識や技術を学んでいることを示すうえで役立ちます。
調理や衛生管理の知識を活かせる
調理師免許を取得する過程では、食品衛生学や栄養学、公衆衛生学など、飲食店の運営に役立つ知識を学びます。
キッチンカーは限られたスペースで調理を行うため、食材の温度管理や衛生管理がとても重要です。調理師免許で身につけた知識は、安全なメニューづくりや食中毒の予防など、日々の営業にも活かせます。
飲食店で経験を積みながら開業準備を進めやすい
いきなりキッチンカーを開業するのが不安な場合は、飲食店で経験を積んでから独立する方法もあります。
調理師免許があると飲食店への就職や転職で評価されることがあり、調理の現場で実践的なスキルを身につけやすくなるのがメリットです。
メニュー開発や原価管理、衛生管理などを学んでから開業すれば、開業後の失敗を減らしやすくなるでしょう。
調理師免許の取り方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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キッチンカーの調理・メニュー開発に役立つ資格

キッチンカーの開業に必要な資格は、食品衛生責任者と営業許可があれば十分です。
ただし、メニューに付加価値を付けたり、お店のコンセプトを明確にしたりしたい場合は、次のような資格が役立つことがあります。
| 資格名 | 活かし方 |
|---|---|
| フードコーディネーター | 盛り付けやメニュー開発、お店全体のブランディングに役立つ |
| 食育インストラクター | 栄養バランスを意識したメニューづくりに活かせる |
| 野菜ソムリエ | 地元野菜や旬の食材を使ったメニューの提案に役立つ |
必須の資格ではありませんが、「健康志向」「地産地消」「SNS映え」など、お店の強みを打ち出したい場合には差別化につながることもあります。

キッチンカーを開業するまでの流れ

最後に、実際に開業するまでの大まかな流れを確認しておきましょう。
キッチンカー開業までの流れは次のとおりです。
- お店のコンセプトやメニューを決める
- 食品衛生責任者の資格を取得する
- 車両を準備し、保健所へ事前相談する
- 車両を製作・改装する
- 営業許可を申請し、設備検査を受ける
- 出店場所を確保して営業を開始する
特に重要なのが、車両を準備する前に保健所へ相談することです。
提供するメニューによって必要な設備や基準が変わるため、先に確認しておくことで作り直しなどのトラブルを防げます。
また、食品衛生責任者の資格取得や営業許可の取得は、開業に欠かせない準備の一部です。余裕を持ったスケジュールで進めるようにしましょう。
キッチンカーの開業資金や飲食店全般の開業までの流れについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

キッチンカーの開業や資格に関するよくある質問

キッチンカーの開業に必要な資格や免許について、よくある質問に回答します。
まとめ
キッチンカーの開業に、調理師免許は必要ありません。
必要なのは、食品衛生責任者の資格、飲食店営業の許可、自動車運転免許です。営業許可は車両の設備基準にも関わるため、車両を準備する前に保健所へ相談しておくことが大切です。
調理師免許は必須ではありませんが、食品衛生責任者の講習免除や、調理・衛生管理の知識を活かせるなど、キッチンカーの運営に役立つ資格です。
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