飲食店を開業するには?独立までの流れや開業資金・資格を解説

飲食店を開業するには?独立までの流れや開業資金・資格を解説

「いつか自分の飲食店を持ちたい」

そんな夢を抱いて、開業について調べ始めた方も多いのではないでしょうか。何から手をつければいいのか、わからないことだらけで不安になっている方もいるかもしれません。

この記事では、飲食店の開業・独立までの流れを軸に、開業資金の目安や調達方法、未経験から独立を目指す方法までわかりやすく解説します。開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

飲食店を開業・独立するまでの流れ

飲食店の開業は、思いつきで進めるとつまずきやすいものです。まずは全体の流れをつかんでおきましょう。

大まかなステップは次のとおりです。

  1. お店のコンセプトを決める
  2. 事業計画を立てる
  3. 店舗の物件を探す
  4. 開業資金を調達する
  5. 店舗の工事・設備を準備する
  6. 資格の取得と届出を済ませる
  7. 開業準備を整えてオープンする

それぞれのステップで何をするのか、順番に見ていきましょう。

STEP1:お店のコンセプトを決める

最初にやるべきことは、どんなお店にしたいかというコンセプト決めです。ここがぶれると、物件選びやメニュー、内装まですべてがちぐはぐになってしまいます。

逆に、コンセプトがはっきりしていれば、その後の判断に迷いません。

コンセプトを決める際は、フレームワークとして「5W2H」で埋めていくと効率的です。

フレームワークコンセプト
何を(what)自家焙煎コーヒーと手作りスイーツが楽しめる小さなカフェ
誰に(who)近くの大学に通う学生や、勉強・作業をしたい20代の若者
どこで(where)大学から徒歩5分の商店街エリア
なぜ(why)学生が長時間ゆっくりできるカフェが少ないため
いつ(when)大学の新学期が始まる4月にオープン
どのように(how)Wi-Fi・コンセントを用意し、静かで落ち着いた空間にする
いくらで(how much)コーヒー400円〜、ケーキセット700〜900円

このように、お客さまの顔が浮かぶくらい具体的にするのがポイントです。

「なんとなくおしゃれなカフェ」のようにぼんやりしていると、あとで必ず迷いが出てきます。

STEP2:事業計画を立てる

コンセプトが決まったら、それをお金の面から具体化する事業計画を立てます。事業計画とは、一言でいえば「どうやって売上を立て、利益を出していくか」の見取り図です。

例えば、1日に何人のお客さまが来て、平均いくら使ってくれると、家賃や人件費を払っても利益が残るのか。こうした数字を書き出していきます。

最初は難しく感じますが、ここを具体的に詰めておくほど、開業後に「思ったより儲からない」という失敗を防げます。

事業計画書は、あとで融資を受けるときにも必要です。日本政策金融公庫などが公開しているテンプレートを活用すると、初めてでも作りやすいでしょう。

STEP3:店舗の物件を探す

コンセプトに合ったエリアで、実際の物件を探します。候補地には必ず自分の足で通い、時間帯ごとの人通りや客層、周りにどんなお店があるかを確かめましょう。

ネットの情報だけで決めると、「思ったより人が歩いていない」と後悔しがちです。

物件選びで知っておきたいのが、次の2つのタイプの違いです。

  • 居抜き物件:前のお店の厨房や内装が残っている物件。設備を再利用できるため、工事費を大きく抑えられる
  • スケルトン物件:内装がまったくない状態の物件。ゼロから作れるが、その分だけ工事費が高くなりやすい

業態によっては、居抜き物件を選ぶことで工事費を数百万円単位で抑えられることもあります。費用を抑えて開業したい場合は、有力な選択肢の一つです。

ただし、人気が高く、良い物件はすぐ埋まるため、早めに動くことが大切です。

STEP4:開業資金を調達する

物件のめどが立ったら、開業資金を用意します。自己資金だけでまかなえないことも多いため、金融機関からの融資も検討する段階です。

具体的な金額や調達方法は、このあとの章で詳しく解説します。

STEP5:店舗の工事・設備を準備する

内装工事や厨房設備の準備を進めます。ここで特に注意したいのが、工事を始める前に保健所へ相談することです。

飲食店の営業許可には、シンクの数や手洗い場の位置、厨房と客席の区切り方など、細かい基準があります。

これを知らずに工事を進め、あとから「基準を満たしていないので許可が出せない」と言われると、工事のやり直しで数十万円単位の余計な出費になりかねません。

工事の図面ができた段階で、保健所に持ち込んで確認してもらうと安心です。

STEP6:資格の取得と届出を済ませる

開業に必要な資格の取得や、営業許可の申請、保健所・消防署への届出を進めます。

必要な資格や届出については、このあとの章でまとめて紹介します。

STEP7:開業準備を整えてオープンする

提供するメニューの最終確認や価格設定、仕入れ先の確保、メニュー表の作成などを進めます。あわせて、スタッフの採用やオペレーションの確認を行い、開業に向けた準備を整えましょう。

オープン前にSNSやチラシで告知しておくと、スタートダッシュにつながります。準備が整ったら、いよいよ開業です。

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飲食店の開業資金はいくら必要?

飲食店を開業するときに、もっとも気になるのが「開業資金はいくら必要なのか」という点ではないでしょうか。

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均は975万円です。

250万円未満で開業した人が約2割、250万~500万円未満で開業した人が約2割を占めており、4割以上が500万円未満で開業しています。

「1,000万円近く必要なの?」と不安に感じるかもしれませんが、店舗の規模や物件の選び方によって必要な資金は大きく変わります。

居抜き物件を活用したり、小規模でスタートしたりすることで、開業資金を抑えることも十分可能です。

開業資金は、大きく次の4つに分けられます(20坪ほどの小規模店を想定した一般的な目安です)。

項目内容費用の目安
物件取得費保証金・礼金・前家賃など保証金だけで家賃の10か月分ほどが相場。家賃20万円の場合、契約時に200万~300万円程度
内装工事費・設備費内装工事、厨房機器、家具など1坪あたり50万~80万円程度
備品費食器や調理器具、レジなど店舗規模によって異なる
運転資金家賃・人件費・仕入れなど固定費の3~6ヶ月分が目安

特に、内装工事費・設備費は金額の差が出やすい部分です。居抜き物件を選んだり、中古の厨房機器を活用したりすることで、大きく費用を抑えられます。

見落としがちなのが運転資金です。

開業直後はお客さまが安定せず、赤字になることも珍しくありません。開店費用だけを準備してしまうと、数ヶ月で資金が尽きてしまうケースもあります。

開業資金とは別に、少なくとも数ヶ月分の運転資金を手元に残しておくことが大切です。

飲食店の開業資金を調達する方法

開業資金は、すべて自己資金で用意する必要はありません。多くの人が、自己資金と融資を組み合わせて開業しています。

主な調達方法を見ていきましょう。

日本政策金融公庫の融資を利用する

飲食店の開業資金の調達方法として多くの人が利用しているのが、日本政策金融公庫の創業向け融資です。

民間の銀行と比べて創業時でも利用しやすいのが特徴で、飲食店の開業時には代表的な選択肢の一つといえます。

また、女性や35歳未満の若者、55歳以上の方を対象とした優遇制度が用意されている場合もあります。これから独立を目指す方にとって、活用しやすい制度です。

融資を受けるためには事業計画書の作成が必要になるため、コンセプトや売上計画をしっかり準備しておきましょう。

自己資金でまかなう

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、自己資金の平均は279万円でした。

もちろん、開業資金のすべてを自己資金で用意する必要はありません。実際には、自己資金と融資を組み合わせて開業するケースが一般的です。

自己資金が多いほど融資の審査で有利になる傾向があるため、開業を考えている場合はできるだけ計画的に資金を準備しておくとよいでしょう。

補助金・助成金を活用する

国や自治体の補助金・助成金を活用する方法もあります。例えば「小規模事業者持続化補助金」などは、販路開拓にかかる費用の一部を補助してくれる制度です。

ただし、補助金や助成金は申請条件が細かく、審査や支給までに時間がかかることも少なくありません。多くの場合、開業資金を先に支払ったあとに補助を受ける仕組みになっています。

そのため、「補助金だけで開業する」というよりも、自己資金や融資を補うものとして考えておくとよいでしょう。

飲食店の開業に必要な資格・届出

飲食店を開業するために、調理師免許は必須ではありません。必要なのは、食品衛生責任者の資格取得や営業許可の申請など、開業に必要な手続きを済ませることです。

必須のものはそれほど多くないので、一つずつ確認していきましょう。

食品衛生責任者(必須)

食品を扱うお店には、店舗ごとに1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられています。飲食店を開業する場合は、必ず取得しておきましょう。

取得方法はシンプルで、各地域の食品衛生協会などが実施する講習を1日受けるだけです。

費用は1万円程度で、難しい試験もありません。衛生管理の基本を学ぶ内容のため、未経験の方でも取得できます。

なお、調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習が免除されます。

営業許可(必須)

飲食店を営業するには、保健所の営業許可を取得する必要があります。

保健所では、厨房のシンクの数や手洗い場の設置状況など、施設の基準を満たしているかを確認します。

店舗が完成したあとに検査を受けるため、オープン予定日から逆算して余裕をもって申請しましょう。

防火管理者(収容人数30人以上の場合)

お店の収容人数が30人以上になる場合は、防火管理者の資格が必要です。こちらも講習を受けることで取得できます

小規模な飲食店では不要なケースも多いため、店舗の規模に応じて確認しておきましょう。

そのほかの届出

店舗の状況によっては、次のような届出が必要です。

  • 個人事業の開業届(税務署/個人で開業する場合)
  • 防火対象物使用開始届(消防署/建物を店舗として使用する場合)
  • 火を使用する設備等の設置届(消防署/ガスコンロなどの設備を使用する場合)

必要な届出は、自治体や店舗の設備によって異なる場合があります。開業前に、保健所・消防署・税務署へ確認しておくと安心です。

「飲食店を開業するには調理師免許が必要」と思われがちですが、実際には調理師免許がなくても開業できます。必要な資格や手続きを事前に確認し、計画的に準備を進めましょう。

飲食店を開業するために身につけたいスキル

お店を長く続けるために、経営者として身につけておきたいスキルを確認しておきましょう。

経営の知識

飲食店のオーナーは、料理を作るだけが仕事ではありません。売上や利益の管理、仕入れ、人件費の調整、スタッフの採用・育成など、経営に関わるさまざまな判断を行います。

どれだけ料理がおいしくても、利益が出なければお店を続けることはできません。飲食店で働いた経験があっても、経営は別のスキルと考えておきましょう。

独立している人の話を聞いたり、店舗運営を学べる環境で働いたりしながら、少しずつ知識を身につけていくことが大切です。

商品・サービスを考える力

飲食店は、ただ料理を提供するだけではありません。誰に、どのような価値を届けるのかを考えることも重要です。

例えば、「一人でも入りやすいラーメン店」「学生がゆっくり過ごせるカフェ」など、お店のコンセプトによってメニューや価格設定、サービスの内容は大きく変わります。

原材料費が高騰している今は、味だけでなく、価格とのバランスを考える力も欠かせません。お客さまに選ばれる商品やサービスを作ることが、長く愛されるお店づくりにつながります。

調理・店舗運営のスキル

お店を安定して営業するためには、調理や接客、店舗運営のスキルも必要です。

特に個人で開業する場合は、仕込みや調理、接客、片付けまで自分で対応する場面も少なくありません。スタッフを雇う場合は、仕事を教えたり、シフトを管理したりする力も求められます。

また、「自分がいないとお店が回らない」という状態では、体調を崩したときに営業が難しくなってしまいます。スタッフに仕事を任せられる仕組みを作ることも、経営者に必要なスキルの一つです。

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飲食店の開業で失敗しないためのポイント

開業はゴールではなく、スタートです。飲食店は開業することよりも、長く続けることのほうが難しいと言われています。

ここでは、多くの開業者がつまずきやすいポイントを紹介します。

運転資金は多めに確保する

開業直後は思うようにお客さまが集まらず、赤字になることも珍しくありません。開業資金をすべて使い切ってしまうと、軌道に乗る前に資金が尽きてしまう可能性があります。

少なくとも3~6ヶ月分の運転資金を確保しておくと安心です。

立地は時間をかけて選ぶ

飲食店はどれだけ料理がおいしくても、立地がコンセプトに合っていなければ集客に苦戦します。

人通りの多さだけでなく、ターゲットとなる客層がいるか、競合店は多すぎないかなど、実際に現地へ足を運んで確認しましょう

最初から大きく始めすぎない

「理想のお店を作りたい」と考えて最初から広い店舗や高額な設備を用意してしまうと、固定費の負担が大きくなります。

初めての開業なら身の丈に合った規模でスタートし、軌道に乗ってから店舗を拡大していくほうがリスクを抑えられます

飲食店の開業で特に重要なのは、「資金」と「立地」です。焦って開業を決めるのではなく、十分な準備をしてからスタートすることが、長く愛されるお店づくりにつながります。

未経験から飲食店の開業・独立を目指すには

飲食店の開業に、飲食業界での経験は必須ではありません。しかし、店舗運営や経営の知識も必要になるため、未経験のまま独立すると苦労するケースもあります。

いつか自分のお店を持ちたいのであれば、まずは現場で経験を積みながら、開業に必要な知識やスキルを身につけるのがおすすめです。

独立支援制度のあるお店で経験を積む

飲食店のなかには、将来独立したい人を応援する「独立支援制度」を設けている企業があります。

働きながら調理や接客を学べるだけでなく、仕入れや原価管理、店舗運営など、開業後に必要な知識を身につけられるのが大きな魅力です。

なかには独立時の資金援助や、のれん分け制度を用意している企業もあります。給料をもらいながら開業の準備ができるため、リスクを抑えて独立を目指せます。

将来の独立を見すえて就職先を選ぶ

未経験から飲食店の開業を目指すなら、「どこで経験を積むか」も重要です。

例えば、少人数で店舗を運営しているお店では、調理や接客だけでなく、発注や売上管理など幅広い業務を経験できることがあります。経営者との距離が近い職場なら、店舗経営の考え方を直接学べるでしょう。

すでに「カフェを開きたい」「居酒屋を経営したい」といったイメージがあるなら、同じ業態のお店で経験を積むことで独立後にもそのまま活かせます。

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給料や制度の内容を比べながら、夢への第一歩を踏み出せます。

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飲食店の開業に関するよくある質問

飲食店の開業に関するよくある質問に回答します。

自己資金なしでも飲食店を開業できますか?

難しいですが、不可能ではありません。融資や補助金を活用して開業するケースもあります。

ただし、自己資金がまったくない場合は、融資の審査で不利になることが多いため、開業資金の一部は自分で準備しておくのがおすすめです。自己資金を貯めながら飲食店で経験を積むことで、開業の成功率も高められます。

飲食店の開業に年齢は関係ありますか?

年齢による制限はなく、若くても開業できます。日本政策金融公庫には、35歳未満の若者を対象とした優遇制度が用意されている場合もあります。

一方で、開業には資金や経営の知識が必要です。年齢に関係なく、しっかりと準備をしてから開業を目指しましょう。

飲食店の開業に調理師免許は必要ですか?

必要ありません。開業に必要なのは食品衛生責任者の資格で、調理師免許がなくても飲食店を開業できます。

なお、調理師免許を持っている場合は、食品衛生責任者の講習が免除されるほか、調理の知識や技術を証明できるメリットがあります。

まとめ

飲食店の開業は、コンセプト決めから資金調達、資格の取得まで、やるべきことが多くあります。正しい順番で準備を進めれば、未経験からでも十分に目指すことができます。

居抜き物件を活用したり、融資制度を利用したりすることで、費用を抑えて開業することも可能です。経営や店舗運営の知識を身につけておくことで、開業後の失敗を防ぎやすくなります。

将来的に独立を考えている方は、独立支援制度のある飲食店で経験を積むのも一つの方法です。自分に合った方法で準備を進めながら、理想のお店づくりを目指しましょう。

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この記事を書いた人

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