栄養士と管理栄養士は、どちらも食と栄養の専門職です。ただし、資格の取得方法や、法律で定められた仕事の範囲などに違いがあります。
この記事では、栄養士と管理栄養士の違いを、資格・なり方・仕事内容・給料・難易度の5つの観点で比較します。
職場ごとの役割や、どちらを目指すべきかについても見ていきましょう。
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栄養士・管理栄養士とはどんな職業?

栄養士と管理栄養士は、どちらも食事や栄養の面から人の健康を支える職業です。
そのうえで管理栄養士には、傷病者への栄養指導や、一人ひとりの身体・栄養状態に合わせた専門的な栄養管理などが法律で定められています。
まずは、それぞれがどのような資格なのかを見ていきましょう。
栄養士とは
栄養士は、都道府県知事から免許を受ける資格です。
厚生労働大臣が指定した栄養士養成施設で必要な知識や技術を学び、卒業後に都道府県知事へ申請すると取得できます。国家試験はありません。
学校や保育園、社員食堂、病院、福祉施設などで、献立作成や給食運営、栄養指導に関わり、日々の食事を支えます。
管理栄養士とは
管理栄養士は、厚生労働大臣から免許を受ける国家資格です。管理栄養士国家試験に合格し、免許を申請すると取得できます。
健康な人への栄養指導や給食管理に加え、病気やけがをした人、高齢で食事をとりにくい人などの状態に合わせた、専門的な栄養管理にも関わります。
栄養士と管理栄養士の違いを5つのポイントで比較

栄養士と管理栄養士の違いを、資格・なり方・仕事内容・平均年収・取得難易度の5つの観点で紹介します。
まずは、以下の一覧表で全体像を確認してください。
| 比べるポイント | 栄養士 | 管理栄養士 |
|---|---|---|
| 免許を出す人 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣 |
| 国家試験 | なし | あり |
| なり方 | 養成施設を卒業して申請 | 国家試験に合格して申請 |
| 仕事の範囲 | 栄養指導・給食運営など | より専門的な栄養指導・栄養管理にも対応 |
| 難易度の目安 | 養成施設の卒業が必要 | 第40回試験の合格率は47.6% |
ここからは、5つのポイントを1つずつ見ていきましょう。
1. 資格の扱いの違い
栄養士は都道府県知事から、管理栄養士は厚生労働大臣から免許を受けます。名前は似ていますが、国家試験の有無や免許を出す人が異なります。
一方で、どちらも「栄養士法」に定められた資格です。法律上、栄養士は「栄養の指導に従事する者」とされ、管理栄養士にはさらに次のような業務が明記されています。
- 傷病者への療養に必要な栄養指導
- 高度な専門知識と技術を必要とする栄養指導
- 特別な配慮が必要な給食管理
そのため、病院や福祉施設などでは、管理栄養士の専門性を必要とする求人が見つかります。施設の種類や規模、制度上の条件によって、管理栄養士の配置が必要になる場合もあります。
なお、どちらも「名称独占資格」です。資格を持たない人は「栄養士」「管理栄養士」と名乗れません。
ただし、栄養士法上、資格者だけにすべての業務が認められている「業務独占資格」ではありません。
2. なり方・資格の取り方の違い
栄養士と管理栄養士では、資格を取得するまでのルートも異なります。
栄養士になるルート
栄養士になるには、厚生労働大臣が指定した栄養士養成施設で2年以上学ぶ必要があります。
対象となる学校は次のとおりです。
- 4年制大学
- 短期大学(2〜3年)
- 専門学校(2〜4年)
必要な課程を修めて卒業した後、都道府県知事へ申請し、栄養士名簿に登録されると栄養士を名乗ることができます。
国家試験はありませんが、指定された養成施設を卒業することが必要です。
また、学校の修業年限は、栄養士から管理栄養士を目指す場合に必要な実務経験の年数にも関わります。
管理栄養士になるルート
管理栄養士の資格を取得するルートは、大きく2つあります。
- ルート1:管理栄養士養成施設(4年制)を卒業し、国家試験を受験する
- ルート2:栄養士養成施設を卒業し、栄養士として実務経験を積んでから国家試験を受験する
ルート1では、実務経験なしで国家試験を受けられます。卒業見込みでも受験できるため、在学中に試験を受け、合格後に免許を申請することが可能です。
ルート2で必要な実務経験は、卒業した栄養士養成施設の修業年限によって異なります。
| 卒業した栄養士養成施設 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 2年制 | 3年以上 |
| 3年制 | 2年以上 |
| 4年制 | 1年以上 |
実務経験は、栄養士免許を受けた後の期間が対象です。そのため、在学中のアルバイトは含まれません。
給食施設、食品の製造・販売施設、学校、保健所などで栄養指導に従事し、出願時には施設長などが作成した実務証明書を提出します。
職場や担当業務によっては実務経験として認められない可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

3. 仕事内容と対象者の違い
栄養士と管理栄養士は、どちらも献立作成、給食運営、栄養指導などに関わります。
仕事を資格だけできっぱり分けられるわけではありませんが、管理栄養士には、傷病者への栄養指導など、より専門的な業務が法律で定められている点が違いです。
栄養士の仕事
栄養士の主な仕事は次のとおりです。
- 献立作成
- 栄養指導
- 給食運営
学校や保育園、社員食堂だけでなく、病院や高齢者施設などでも働きます。勤務先によっては、調理、盛り付け、食材の発注、衛生管理などを担当することもあります。
具体的な仕事内容は職場によって異なるため、求人票で確認しましょう。
管理栄養士の仕事
管理栄養士は、一般的な給食管理や栄養指導に加え、一人ひとりの身体や栄養状態に合わせた専門的な栄養管理にも関わります。
病院では、患者の状態に応じた食事の検討や栄養指導、医師・看護師などとの連携を担当することがあります。
福祉施設では、低栄養を防ぐための計画作成や、食事の摂取状況の確認なども仕事の一つです。
栄養士法上、管理栄養士の仕事がすべて独占業務になっているわけではありません。ただし、施設や制度によっては、管理栄養士の配置や関与が要件となる場合があります。
また、求人の応募条件に「管理栄養士」と指定されている場合、栄養士免許だけでは応募条件を満たせません。新卒採用では、卒業時に取得見込みであれば応募できる求人もあります。

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4. 平均年収・給料の違い
厚生労働省の「job tag」によると、栄養士の平均年収は404万円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。
ただし、職業分類は「栄養士、管理栄養士」となっているため、404万円は両者を含む統計です。栄養士だけの平均年収を示したものではありません。
勤務先によっては、管理栄養士に資格手当が支給されるため、栄養士より給料が高くなることがあります。
また、管理栄養士なら必ず高収入になるとは限りません。資格の違いだけでなく、勤務先や仕事内容、勤続年数などによっても給料は変わります。

5. 資格の難易度の違い
栄養士には国家試験がありません。養成施設で必要な課程を修めて卒業し、免許を申請すると取得できます。
一方、管理栄養士になるには国家試験への合格が必要です。
令和8年3月1日に実施された「第40回管理栄養士国家試験」では、受験者15,927人に対して合格者は7,582人、合格率は47.6%でした。
ただし、合格率は受験区分によって大きく異なります。
| 受験する区分 | 合格率 |
|---|---|
| 管理栄養士養成課程(新卒) | 79.3% |
| 栄養士養成課程(既卒) | 11.0% |
| 管理栄養士養成課程(既卒) | 9.4% |
新卒と既卒では、合格率に大きな差が見られます。
働きながら受験する場合は、在学中に比べて勉強時間を確保しにくいことも考えられるでしょう。資格取得までのルートを進学前に確認しておくことが大切です。
とはいえ、第40回試験では、栄養士養成課程の既卒者も564人が合格しています。栄養士になった後からでも、管理栄養士を目指すことは可能です。
なお、参考として、第36~40回試験の合格率は次のように推移しています。
| 実施回 | 合格率 |
|---|---|
| 第36回 | 65.1% |
| 第37回 | 56.6% |
| 第38回 | 49.3% |
| 第39回 | 48.1% |
| 第40回 | 47.6% |
管理栄養士の国家試験は、専門的な知識と計画的な勉強が必要な試験です。取得することで仕事の選択肢が広がります。
【職場別】栄養士と管理栄養士の仕事内容の違い

栄養士と管理栄養士の役割は、働く場所や施設の規模、職場内の分担によって異なります。
次の4つの職場に分けて、仕事内容を見ていきましょう。
- 病院・クリニック
- 福祉施設・高齢者施設
- 学校・保育園・社員食堂
- 食品メーカー・その他
病院・クリニック
病院やクリニックは、患者の病状や治療方針に合わせた栄養管理が必要となるため、管理栄養士の専門性が活かされる職場です。
栄養士は、入院患者に提供する食事の調理や盛り付け、献立作成、給食運営などを担当します。
一方、管理栄養士の主な役割は、患者の状態に応じた栄養管理や栄養指導です。医師や看護師などと連携し、チームで治療を支える場合もあります。
ただし、栄養士と管理栄養士の業務範囲は、病院の規模や運営体制によって異なり、すべての職場で同じとは限りません。
福祉施設・高齢者施設
福祉施設や高齢者施設では、利用者の噛む力や飲み込む力、栄養状態に合わせた食事を提供します。
栄養士の主な仕事は、きざみ食やミキサー食などを含む献立の作成、調理、給食運営です。
一方、管理栄養士は食事の摂取量や体重の変化などを確認し、低栄養を防ぐための栄養ケア計画を作成することがあります。
職場によっては、管理栄養士が立てた計画をもとに、栄養士や調理スタッフが連携して利用者の食事を支えます。
学校・保育園・社員食堂
学校・保育園・社員食堂は、栄養士・管理栄養士ともに、献立作成や給食運営、食育などに関わる職場です。病院や福祉施設と比べると、資格による役割の差が小さい場合もあります。
実際の仕事内容は、職場の体制や採用条件によって一律ではありません。
なお、学校での食物アレルギー対応は、栄養士や管理栄養士だけで行うものではなく、校長などを責任者とする組織で取り組みます。栄養教諭免許状の有無や、配置される職位も役割に関係します。
食品メーカー・その他
食品メーカーは、商品開発やメニュー開発、栄養情報の発信などに、栄養士・管理栄養士の知識を活かせる職場です。
ただし、必要な資格や経験は職種によって異なります。
資格を問わない求人がある一方で、研究開発や専門的な栄養相談などでは、管理栄養士の資格や特定分野の知識が求められる場合もあります。
「栄養士と管理栄養士のどちらを募集しているか」だけでなく、担当する仕事や応募条件まで確認することが大切です。

栄養士と管理栄養士はどっちを目指したらいいの?

どちらを目指すかは、資格の上下ではなく、希望する仕事内容や資格取得までにかかる期間をもとに考えましょう。
病院などで専門的な栄養管理に関わりたい場合は、管理栄養士が応募条件となる求人もあります。
一方、できるだけ早く現場に出て給食運営や食事づくりに関わりたい場合は、栄養士を目指す選択肢があります。
ここからは、それぞれに向いている人の特徴を見ていきましょう。
栄養士が向いている人
栄養士に向いているのは、次のような人です。
- できるだけ早く資格を取り、食に関わる仕事を始めたい人
- 学校・保育園・社員食堂などで、日々の食事を支えたい人
2年制の養成施設を選べば、高校卒業後、最短2年で栄養士免許の取得を目指せます。
栄養士も、指定された養成施設で必要な知識と技術を学び、卒業することが必要です。勤務先は学校や保育園だけでなく、病院、福祉施設、食品メーカーなどにも広がっています。
ただし、仕事内容や必要な資格は求人によって異なります。働きたい職場が決まっている場合は、実際の求人で応募条件を確認してから進路を選びましょう。
管理栄養士が向いている人
管理栄養士に向いているのは、以下のような人です。
- 専門性を高め、傷病者への栄養指導などにも関わりたい人
- 病院や福祉施設などで、一人ひとりに合わせた栄養管理をしたい人
病院での栄養管理や栄養指導などは、管理栄養士が中心となって担当することがあります。
資格を取得することで、選べる仕事の幅が広がるのが大きなメリットです。
国家試験への合格が必要ですが、4年制の管理栄養士養成施設を卒業するルートなら、実務経験なしで受験できます。
進学先を選ぶ段階で、取得したい資格と希望する仕事を照らし合わせてみましょう。
栄養士から管理栄養士になるには

栄養士免許を取得した後に必要な実務経験を積むことで、管理栄養士国家試験を受験できます。
必要な実務経験は、2年制の栄養士養成施設を卒業した場合は3年以上、3年制は2年以上、4年制は1年以上です。
実務経験として認められる施設や仕事内容にも条件があるため、受験を考えている場合は早めに確認しましょう。
なお、第40回試験では、栄養士養成課程の既卒者の合格率は11.0%でした。全体の合格率よりも低い数値です。
そのため、働きながら勉強時間を確保するという、計画的な準備が求められる点は覚悟しておきましょう。
「エフラボ」には新卒向けの栄養士・管理栄養士の求人が集まっているので、自分がどちらに向いているかを考えながらチェックしてみてください。
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まとめ

栄養士と管理栄養士は、どちらも食と栄養の面から人を支える資格です。
栄養士は養成施設を卒業して申請すると取得でき、管理栄養士は国家試験への合格が必要です。
また、管理栄養士には、傷病者への栄養指導など、より専門的な業務が法律で定められています。
どちらを目指すかは、働きたい職場や関わりたい仕事、資格取得までの期間をもとに考えましょう。栄養士として実務経験を積み、後から管理栄養士を目指すことも可能です。
まずは「エフラボ」でどんな職場で働けるのかを眺めつつ、自分の将来像をイメージしてみてください。

