求人情報やドラマで見かける「スーシェフ」とは、日本語でいう副料理長のことです。シェフ(料理長)を支えながら厨房のスタッフに指示を出し、調理をスムーズに進める役割を担います。
料理が上手なだけでなく、厨房全体の状況を見て動く必要があるため、経験を積んだ料理人が任されるポジションです。
この記事では、スーシェフの意味や語源をはじめ、シェフとの違い、仕事内容、なり方まで紹介します。
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スーシェフとは?意味をわかりやすく解説

スーシェフは、料理長を支えながら日々の調理現場をまとめる人です。
まずは言葉の意味と語源から、厨房でどのような立場にいるのかを見ていきましょう。
スーシェフとは「副料理長」のこと
スーシェフとは、日本語でいう「副料理長」です。一般的にはシェフ(料理長)のすぐ下に位置し、厨房をまとめるナンバー2にあたります。
シェフが料理の方向性や厨房全体の方針を決めるのに対し、スーシェフはその方針に沿って日々の調理を進めます。
例えば、予約状況に合わせて仕込みの量を確認したり、スタッフに担当を割り振ったり、営業中に料理を出す順番を調整したりする仕事です。
シェフが不在のときには、代わりに厨房の責任者を務めることもあります。
自分の料理だけに集中するのではなく、周囲の進み具合を見ながら厨房全体を動かす役職です。
スーシェフの「スー」の語源
「スー(sous)」は、フランス語で「〜の下に」を意味する言葉です。役職名では「副〜」「次席〜」を表すときに使われます。
「シェフ(chef)」は、フランス語で組織の「長」や「責任者」を意味する言葉です。
この2つを組み合わせた「スーシェフ(sous-chef)」は、料理長のすぐ下で支える人を意味し、日本語では「副料理長」と訳されます。
なお、勤務先によっては、料理長を「コック長」、スーシェフを「副コック長」や「料理長補佐」と呼ぶ場合もあります。
呼び方だけで判断せず、求人票に書かれた仕事内容や立場を確認しましょう。
シェフ(料理長)とスーシェフの違い

シェフとスーシェフはどちらも厨房全体に関わる役職ですが、責任を持つ範囲が異なります。
主な違いをまとめると、以下のとおりです。
| 比べるポイント | シェフ (料理長) | スーシェフ (副料理長) |
|---|---|---|
| 厨房での立場 | 料理部門の責任者 | 料理長を支える次席 |
| 主な役割 | 料理と厨房全体の方針を決める | 方針に沿って日々の厨房を動かす |
| 主な仕事 | メニュー開発、仕入れ、原価・品質・人員の管理 | 調理の進行管理、品質確認、スタッフへの指示・育成 |
| 料理長不在時 | 最終責任を持つ | 料理長の代理を務めることがある |
| 配置される人数 | 1つの厨房に1人が一般的 | 厨房の規模により複数の場合もある |
ただし、実際の役割分担は勤務先によって異なります。小規模なレストランでは、シェフが現場の指揮まで行い、スーシェフという役職を置かないこともあります。
シェフの役割
シェフは、厨房と料理に関する責任者です。
主に次のような仕事を担当します。
- メニューやレシピを考える
- 使用する食材や仕入れ先を決める
- 料理の味や見た目を管理する
- 食材の原価やロスを管理する
- スタッフの配置や育成を考える
どのような料理を出し、どの味や見た目を店の基準とするのかを決めるのが、シェフの大きな役割です。
料理の腕だけでなく、食材にかかる費用やスタッフの働き方なども考えながら厨房全体をまとめます。
ただし、担当範囲は勤務先によって変わります。
チェーン店ではメニューや仕入れ先を本部が決めることもあり、その場合は店舗での品質管理やスタッフの育成がシェフの中心的な仕事になります。
スーシェフの役割
スーシェフは、シェフを支えながら日々の厨房を動かす役割です。
シェフが決めたメニューや調理方法をもとに、その日の予約数や注文状況に合わせてスタッフへ指示を出します。
例えば、次のようなことを判断します。
- 誰がどの持ち場を担当するか
- どの仕込みをどこまで進めるか
- どの料理から作り始めるか
- 遅れている持ち場を誰が手伝うか
- 料理をどのタイミングで仕上げるか
スタッフへ指示を出すだけでなく、自分も調理に入るのが一般的です。新人や若手に調理方法を教え、料理の味や盛り付けに問題がないかも確認します。
シェフと各持ち場のスタッフをつなぎ、全員が同じ方向に動けるようにするポジションといえるでしょう。
厨房の役割を具体的にイメージするには、実際の求人で調理スタッフがどのような仕事を担当するのか見てみるのがおすすめです。
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厨房の階級(ブリガード)とスーシェフの位置づけ

フランス料理の厨房では、それぞれの担当や上下関係を示す「ブリガード」と呼ばれる仕組みがあります。
スーシェフがどのような立場なのか、この仕組みに当てはめて見てみましょう。
ただし、すべての飲食店に同じ階級があるわけではありません。和食や中華、小規模なレストランでは、役職名や仕事の分け方が異なります。
ブリガードとは?フランス料理の厨房の階級制度
「ブリガード(brigade)」は、フランス語で「部隊」や「班」を意味する言葉です。
厨房では、誰がどの持ち場を担当し、誰の指示を受けて動くのかを決めたチーム編成を指します。
この仕組みを19世紀末に整理して広めた人物が、フランス人シェフのオーギュスト・エスコフィエです。
大勢の料理人が同時に作業する厨房では、全員が自由に動くと、作業の重複や遅れが起こりやすくなります。
そこで、肉料理、魚料理、ソース、デザートなどの担当を分け、指示を出す順序を明確にしました。
現在も、ホテルや規模の大きなレストランなどでは、この考え方をもとに仕事を分担しています。
ただし、現代の厨房では、規模や料理の種類に合わせて役職をまとめたり、一人が複数の仕事を担当したりすることもあります。
厨房の主な役職と役割
ブリガードにおける主な役職を、上から順に並べると以下のようになります。
- シェフ・ド・キュイジーヌ(料理長):厨房全体と料理に責任を持つ
- スーシェフ(副料理長):料理長を支え、日々の厨房を動かす
- シェフ・ド・パルティ(部門責任者):肉、魚、ソースなど、担当する持ち場をまとめる
- コミ(若手料理人):先輩の指示を受けながら、下処理や仕込み、調理を担当する
「パティシエ」も、ブリガードでは菓子やデザートを担当する役職の一つです。現在は、製菓部門を料理部門から独立させているホテルやレストランもあります。
実際には、すべての役職が置かれているとは限りません。小規模な店では、一人の料理人が複数の持ち場を担当することもあります。
スーシェフは階級のどこ?上の役職は?
スーシェフは、一般的に料理長の一つ下に位置し、厨房のナンバー2を務めます。
スーシェフの上にいるのは、シェフ・ド・キュイジーヌと呼ばれる料理長です。
ホテルや複数のレストランを運営する企業では、各店舗の料理長をまとめる「総料理長」や「エグゼクティブシェフ」が置かれる場合もあります。
その場合の基本的な順番は、次のとおりです。
- 総料理長:エグゼクティブシェフ
- 料理長:シェフ・ド・キュイジーヌ
- 副料理長:スーシェフ
- 部門責任者:シェフ・ド・パルティ
- 若手料理人:コミ
ただし、役職の名前や順番は勤務先によって異なります。
求人票で役職名を見つけたときは、名前だけでなく、誰を補佐し、どこまで責任を持つ仕事なのかも確認しましょう。
スーシェフの主な仕事内容

スーシェフの仕事は、自分で料理を作りながら、厨房全体が予定どおりに動くようにすることです。
主な仕事内容を3つに分けて紹介します。
厨房全体の指揮と進行管理
スーシェフは、その日の予約数やメニューを確認し、必要な仕込みとスタッフの配置を考えます。
仕事の例は、次のとおりです。
- 開店前:予約数や食材の在庫を確認し、仕込みの量と担当を決める
- 営業中:注文の入り方や各持ち場の進み具合を見ながら指示を出す
- 営業後:食材の残りや翌日の予約を確認し、次の仕込みにつなげる
特に忙しくなるのが営業中です。
例えばコース料理では、前菜、魚料理、肉料理などを順番に出す必要があります。同じテーブルの料理は、できるだけ同じタイミングで仕上げなければなりません。
一つの持ち場だけを見ていると、ほかの料理が遅れたり、できあがった料理が冷めたりする可能性があります。
スーシェフは厨房全体を見ながら、必要に応じて担当を入れ替えたり、自分が調理を手伝ったりします。
周囲の状況を素早くつかみ、次に必要な動きを考える力が求められる仕事です。
料理の品質管理
厨房から出す料理の味や見た目を、店の基準に合わせることもスーシェフの仕事です。
具体的には、以下のような点を確認します。
- 味付けがレシピどおりか
- 火の通り方に問題がないか
- 盛り付けが店の基準に合っているか
- 料理を適切な温度で提供できるか
- 食材や調理器具が衛生的に扱われているか
同じ料理でも、作る人によって味や見た目が変わってしまうことがあります。
誰が担当しても店として同じ品質の料理を出せるように、必要に応じて調理方法を教えたり、作り直しを指示したりします。
食材の状態や厨房内の衛生にも目を配り、お客様へ安全な料理を届けることも大切な役割です。
スタッフの育成と料理長の代行
若手スタッフへ調理方法を教え、できる仕事を増やしていくこともスーシェフの役割です。
包丁の使い方や火入れなどの技術だけでなく、作業の順番、声のかけ方、厨房内での動き方なども指導します。
ただし、相手の経験や得意・不得意は一人ひとり違います。同じ教え方をするだけでなく、どこで困っているのかを見て伝える力が必要です。
また、料理長が休みや会議などで厨房にいないときは、スーシェフが代理として判断することがあります。
急な予約変更や食材不足、調理中のトラブルが起きた場合も、状況を確認して対応しなければなりません。
料理長を目指すために必要な判断力や人をまとめる力を、実際の仕事を通して身につけるポジションでもあります。
スーシェフになるには?料理人としてのキャリアステップ

スーシェフは、一般的に新卒で入社してすぐ任される役職ではありません。
まずは調理の基礎を身につけ、持ち場を任され、ほかのスタッフへ指示を出せるようになることが必要です。
ここでは、フランス料理のブリガードをもとに、スーシェフを目指す道のりの一例を紹介します。
なお、実際の役職名や昇進の順番は勤務先によって異なります。
日本の求人では「コミ」や「シェフ・ド・パルティ」ではなく、「調理スタッフ」「部門責任者」などと書かれることもあるので覚えておきましょう。
STEP1:コミ(見習い)からスタート
最初は、キッチンスタッフや調理スタッフとして、基本的な仕事から覚えていきます。
日本の新卒求人では、次のような職種名で募集されているのが一般的です。
- キッチンスタッフ
- 調理補助
- 調理スタッフ
- 調理職
最初に担当する仕事は勤務先によって異なります。食材の下処理、仕込み、盛り付け、調理器具の準備や片付けなどから始めることが多いでしょう。
どの仕事から始まり、何年目にどの調理を任せてもらえるのかは、求人票や説明会で確認しておくと安心です。
最初の仕事は地味に見えるかもしれませんが、包丁の扱い、食材の特徴、衛生管理、仕事の順番などを覚える大切な時期です。
ここで身につけた基礎が、その後の調理や後輩指導にも役立ちます。

STEP2:シェフ・ド・パルティで部門を担当
経験を重ねると、肉、魚、ソース、前菜など、自分の持ち場を任されるようになります。
フランス料理のブリガードでは、各持ち場の責任者を「シェフ・ド・パルティ」と呼びます。
この段階では、指示を受けて作業するだけでなく、次のような仕事も担当します。
- 必要な仕込みの量を確認する
- 営業時間に間に合うように作業の順番を考える
- 店の基準に合った料理を毎回作る
- 若手スタッフに作業を教える
- 食材の残量や状態を確認する
忙しいときでも同じ味と見た目に仕上げる力や、周囲に指示を出す力が必要です。
スーシェフは特定の持ち場だけでなく、厨房全体を見る仕事です。複数の持ち場を経験しておくと、それぞれの作業時間や大変さを理解し、適切な指示を出しやすくなります。
STEP3:経験を積んでスーシェフへ
調理技術に加えて、周囲からの信頼やスタッフをまとめる力が身につくと、スーシェフを任される可能性が出てきます。
評価されるのは料理の腕だけではありません。
- 忙しいときも落ち着いて判断できる
- 厨房全体の進み具合を見られる
- 店の味や盛り付けを正しく再現できる
- 後輩へわかりやすく教えられる
- トラブルが起きたときに対応できる
- 料理長の考えをスタッフへ伝えられる
こうした力も必要です。
厚生労働省の「job tag」では、西洋料理調理人が一人前になるまでに10年かかるといわれていることが紹介されています。
ただし、この10年はスーシェフになるまでの決まった年数ではありません。勤務する厨房の規模や教育方法、本人の経験、役職の空きなどによって、昇進する時期は変わります。
「次にどの仕事を任せてもらえるか」「どのような力を身につけられるか」を考えながら経験を積むことが大切です。
スーシェフや料理長を目指すなら、目の前の条件だけでなく、入社後の育成方法やキャリアの例も確認して求人を選びましょう。
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スーシェフに関するよくある質問

スーシェフに関するよくある質問に回答します。
まとめ

スーシェフとは副料理長のことで、料理長を支えながら日々の厨房を動かす役職です。
調理の進み具合や料理の品質を確認し、スタッフの育成や料理長不在時の代理も担当します。
新卒ですぐに就く役職ではなく、まずは調理の基礎を身につけ、持ち場の責任者などを経験しながら目指すのが一般的です。
料理の腕だけでなく、厨房全体を見る力や、周囲へわかりやすく指示を出す力も必要になります。
将来的にスーシェフや料理長を目指すなら、まずは飲食業界で調理の現場に立つところから始めましょう。
新卒で就職先を探している方は、「エフラボ」でさまざまな企業を比較してみてください。

