板前の修行は厳しい?5つの段階と一人前までの道のりを解説

板前の修行は厳しい?5つの段階と一人前までの道のりを解説

板前を目指すとき、多くの人が気になるのが「修行で実際に何をするのか」ではないでしょうか。厳しいというイメージから、一歩を踏み出せずにいる人もいるかもしれません。

この記事では一人前の板前になるための修行項目をはじめ、かかる期間や厳しさ、おすすめの修行先まで解説します。板前としての第一歩を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

板前の修行とは

板前の修行とは、日本料理の一人前の料理人を目指して、技術や知識、仕事への姿勢を身につけていく過程のことです。

板前は刺身や焼き物、煮物、揚げ物など幅広い和食を担当するため、修行では食材の扱い方や包丁技術、火入れ、盛り付けなどを段階的に学んでいきます。

修行の流れは職場によって異なりますが、一般的には追い回しと呼ばれる下積みから始まります。

掃除や準備、食材の下ごしらえといった基礎を身につけ、経験を積みながら担当する仕事の幅を少しずつ広げていくのが一般的です。

同じ和食の料理人でも、寿司に特化した寿司職人とは学ぶ内容が異なり、板前は和食全般の調理技術を幅広く身につけていくのが特徴です。

修行期間は職場の方針や本人の成長によって大きく異なります。

一人前の板前になるための修行【5つの段階】

修行の流れや担当名は職場によって異なりますが、伝統的な日本料理店では、次のような段階を経験するのが一般的です。

  1. 追い回し(下積み)
  2. 八寸場(盛り付け)
  3. 焼き場・揚げ場
  4. 蒸し場・煮方
  5. 板場(刺し場)

それぞれの段階で何を学ぶのか、順番に見ていきましょう。

1. 追い回し(下積み)

追い回しは、板前修行の最初の段階です。一言でいうと、料理を作る前の準備や片付けなどを担当しながら、厨房の基本を身につける時期です。

具体的には次のような仕事を担当します。

  • 調理場の清掃や道具の準備・片付け
  • 野菜の皮むきなど、食材の下ごしらえ
  • 出汁を取るための昆布やかつお節の準備
  • 米を炊くなど、料理の基本作業

一見すると地味な仕事が中心ですが、先輩の動きを間近で見ながら、料理の段取りや厨房での動き方を体で覚えていきます。

ここで基本をしっかり身につけることが、その後の成長を大きく左右します。

雑用のように見える仕事も、板前としての土台を築く大切な修行です。

2. 八寸場(盛り付け)

八寸場は、前菜や季節の料理の盛り付けなどを担当する段階です。

「八寸」は会席料理の前菜を指し、季節感や彩りを表現する料理として知られています。料理を美しく見せる盛り付けの技術や感性を磨いていきます。

身につける技術の例は次のとおりです。

  • 彩りや配置のバランスを考えた盛り付け
  • 器と料理の組み合わせ方
  • 季節感を演出する盛り付けの工夫

例えば、春は山菜を使ってやわらかな色合いを表現したり、秋は紅葉をイメージした彩りを取り入れたりします。

同じ料理でも盛り付け方ひとつで印象は大きく変わるため、目でも楽しめる一皿に仕上げる力を養う段階です。

3. 焼き場・揚げ場

焼き場・揚げ場は、焼き物や揚げ物を担当する段階です。火加減ひとつで仕上がりが大きく変わるため、食材に合わせて火を扱う技術を身につけます。

主に学ぶのは次のような内容です。

  • 魚や食材に合わせた焼き方の使い分け
  • 揚げ物の油の温度管理や衣の付け方
  • 外は香ばしく、中はふっくら仕上げる火入れのタイミング

特に天ぷらは、油の温度や揚げる時間によって食感が大きく変わります。

同じ食材でも火の入れ方で味や香りが変わるため、経験を重ねながら感覚を磨いていきます。

4. 蒸し場・煮方

蒸し場・煮方では、蒸し物や煮物を担当します。だしの取り方や調味料の使い方、火加減など、和食の味の基本を学ぶ重要な段階です。

具体的に、次のような技術を身につけます。

  • 食材に合わせた火加減の調整
  • だしや調味料の配合
  • 食材に合った調理法を選ぶ判断力

煮物や蒸し物はシンプルな料理に見えますが、火加減や味付けのわずかな違いが仕上がりを左右します。

素材の持ち味を引き出す和食ならではの考え方を学ぶ、大切な修行です。

5. 板場(刺し場)

板場(刺し場)は、魚をさばき、刺身を中心とした料理を担当する段階です。

包丁技術や魚の知識など、高度な技術が求められるため、多くの日本料理店では経験を積んだ板前が任されます。

求められる技術の例は次のとおりです。

  • 魚をさばく包丁技術と細かな骨の処理
  • 魚の鮮度や種類に応じた部位の使い分け
  • 刺身の美しい盛り付け
  • カウンターでお客様に料理を提供する対応力

魚の旬を見極めて最適な調理法を選ぶなど、これまで積み重ねてきた知識や経験が活きる段階です。

技術だけでなく、お客様とのやり取りや現場全体を見る力も身につけながら、一人前の板前を目指していきます。

板前の修行に必要な期間

板前の修行にかかる期間は、職場の方針によって大きく異なります。個人店など「早く一人前になってほしい」と考える職場では、2〜3年ほどで調理を任されるようになるケースもあります。

一方、伝統を重んじる老舗の料亭では、一人前と認められるまでに10年以上かかることも珍しくありません。各段階をじっくり経験しながら技術を磨くため、長い年月を要します。

老舗料亭など、修行期間が長い場合の期間の目安は次のとおりです。

段階期間の目安
追い回し(下積み)1〜3年
八寸場(盛り付け)1〜2年
焼き場・揚げ場2〜3年
蒸し場・煮方2〜3年
板場(刺し場)3〜5年

「何年かかるのか」という実際の期間は、職場によって異なります。

同じ期間でも、どれだけ主体的に学ぶかや、どのような環境で修行するかによっても成長スピードは変わります。

期間だけにとらわれるのではなく、自分が目指す板前像に合った修行先を選ぶことが大切です。

修行先を探す際は仕事内容だけでなく、どのような技術を学べるのか、将来どのような板前を目指せるのかにも注目してみましょう。

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板前の修行は厳しい?

板前の修行で、忍耐力を求められる場面が多いのは事実です。

特に追い回しの時期は、掃除や仕込みの準備、道具の手入れなどが中心で、すぐに包丁を握れるわけではありません。その時点で「思っていた仕事と違った」と感じる人もいます。

また、和食の世界では、先輩の仕事を見ながら技術を学ぶ文化が根付いている職場もあります。すべてを細かく教えてもらえるとは限らず、自ら質問したり、積極的に学んだりする姿勢が重要です。

一方で、近年は若手の育成に力を入れ、早い段階から調理を任せたり、研修制度を整えたりする職場も増えています。

修行の進め方は職場によって大きく異なるため、「厳しいかどうか」だけで判断するのではなく、自分が成長しやすい環境かどうかを確認して修行先を選ぶことが大切です。

板前の平均年収・給料の目安

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、日本料理調理人(板前)の平均年収は379.1万円とされています。

ただし、これは全年齢を対象とした平均年収です。修行中や見習いとして働き始めたばかりの時期は、平均より低い給与水準からスタートすることが一般的です。

経験年数0年の板前の所定内給与額を見ると、23.13万円となっています。板前として働く人の就業形態の約半数は、正社員です。

経験を積んで担当できる仕事が増えるにつれて、収入も上がります。料理長や板長クラスになると、さらに高い年収を目指すことも可能です。

働きながら一人前の板前を目指せるおすすめの修行先

板前として一人前を目指すなら、働きながら技術を学べる職場を選ぶ必要があります。修行先によって学べる技術や働き方が異なるため、自分がどのような板前を目指したいかに合わせて選びましょう。

代表的な修行先を2つ紹介します。

老舗の料亭

老舗の料亭は、長年受け継がれてきた伝統的な和食の技術や作法を学べる環境です。本格的な日本料理を基礎から身につけたい人に向いています。

基本から高度な技術まで、経験豊富な板前のもとで学べるのが特徴です。季節を表現する料理や器の選び方、美しい盛り付けなど、細部までこだわった和食の技法を身につけられます。

また、礼儀作法やお客様への接し方など、料理人として必要な立ち居振る舞いを学べることも魅力です。

和食レストラン

和食レストランは、伝統的な技術に加え、幅広いメニューや現場で求められる実践力を身につけやすい環境です。さまざまな調理を経験しながら、効率よく技術を磨きたい人に向いています。

季節の食材を使った料理や盛り付けを学べるだけでなく、多くのお客様に料理を提供するなかで、スピードやチームワークも身につきます。

店舗によっては早い段階からさまざまな持ち場を経験できるため、実践を重ねながら成長しやすい点も特徴です。

修行先を選ぶときは、学べる技術や将来どのような板前を目指せるのかまで確認しましょう。

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板前の修行に関するよくある質問

板前の修行に関するよくある質問に回答します。

未経験でも板前の修行はできますか?

はい、できます。板前の多くは未経験で飲食店に就職し、追い回しから経験を積みながら技術を身につけています。調理師免許などの資格は必須ではなく、和食を学びたいという意欲や、地道な下積みに前向きに取り組む姿勢が大切です。

未経験者向けの研修制度や教育体制が整った職場を選ぶと、より安心して修行を始められます。

資格を持っていると修行期間は短くなりますか?

調理師免許などの資格があると、衛生管理や調理の基礎知識を理解しやすくなるため、仕事を覚える助けになることがあります。

ただし、板前として必要な包丁さばきや魚の扱い方、盛り付けなどの実践的な技術は現場で身につけるものです。資格があるからといって、修行期間が大幅に短くなるわけではありません。

板前と寿司職人の修行はどう違いますか?

板前の修行は、刺身・焼き物・煮物・揚げ物など、和食全般の技術を段階的に学んでいくのが特徴です。一方、寿司職人は、シャリの炊き方やネタの仕込み、握りといった寿司づくりを中心に技術を磨きます。

同じ和食の料理人でも、板前は幅広い調理技術を、寿司職人は寿司に特化した専門技術を身につける点が大きく異なります。

まとめ

板前の修行は、追い回しから板場まで5つの段階を経験しながら、和食の技術を少しずつ身につけていく道のりです。

一人前になるまでの期間は職場によって異なり、早ければ2〜3年ほどで調理を任される場合もあれば、老舗料亭では10年以上かけて技術を磨くこともあります。

修行には厳しい面もありますが、近年は若手の育成に力を入れる職場も増えています。

修行期間の長さだけでなく、どのような技術を学べるのか、どのような板前を目指せるのかを確認しながら、自分に合った修行先を選びましょう。

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この記事を書いた人

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