調理師免許の取り方は？働きながら試験を受けるメリットと注意点を解説

飲食業界への就職を目指している方の中には、「働きながら調理師免許は取れるのか」「具体的な取り方を知りたい」と考えてる方もいるでしょう。場合によっては、これから学校に通うよりも飲食業界で実務経験を積んだほうが、無理なく調理師免許の取得を目指せます。

本記事では、働きながら調理師免許を取る方法を解説します。飲食業界で働く上で調理師免許を取得しておくとよい理由もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

飲食業界専門の新卒求人サイト「エフラボ」では、求人情報のほか説明会やインターンシップの開催情報も掲載しています。飲食業界への就職を目指している方は、ぜひご活用ください。

働きながら調理師免許を取る方法

働きながら調理師免許を取るためには、大きく分けて「調理師試験を受ける」「調理師養成施設（専門学校）を卒業する」といった2つの方法があります。それぞれの特徴を押さえた上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

実務経験を積んでから独学で調理師試験を受ける

働きながら調理師免許を取るために、実務経験を積んでから独学で試験を受ける方法があります。

実務経験を積んで調理師試験を受ける条件として、1日6時間以上かつ週4回以上の調理業務に関わる時間を確保し、2年以上にわたって継続する必要があります。この場合、飲食店や給食施設などで働きながら、独学または通信講座などで試験対策するのが一般的です。

独学で調理師試験を受ける場合、学費がかからないため経済的なメリットが大きくなります。一方で、学習効果を高めるためには自己管理能力が欠かせません。

働きながら専門学校の昼間部を卒業する

働きながら専門学校の昼間部を卒業し、調理師免許を取得する方法もあります。専門学校の昼間部は授業の選択肢が多く、学びの幅を広げられる点が特徴です。卒業と同時に調理師免許を取得できるため、通学のリズムさえ確保できれば、確実性が高い方法だといえます。

ただし、働く時間が夜に限定されるため、フルタイム勤務との両立が難しくなります。通学を優先させるために、アルバイトや夜勤など働き方が制限される点を理解しておきましょう。

働きながら専門学校の夜間部を卒業する

働きながら専門学校の夜間部を卒業して調理師免許を取得する方法もあります。夜間部であれば日中働けるため、仕事と勉強を両立しやすい方法です。また、夜間部には昼間部と比べてさまざまな年齢や経歴の人が集まる傾向にあるため、気軽に学校生活を送れるメリットもあります。

ただし、夜間部を設置している専門学校は数が限られます。そのため、働きながら通学できるエリアに選択肢があるかどうか事前に確認しておくことが大切です。

働きながら調理師免許を取るメリット

働きながら調理師免許を取ることは、経済的にもキャリアにおいてもメリットがあります。

経済的な負担を減らせる

働きながら調理師免許を取得する場合、学費や生活費といった経済的な負担を軽減できます。専門学校の通学にかかる学費が不要になるため、数十万円単位での節約が可能です。また、収入を生活費に充てられるため、精神的な安定にもつながります。

働き方にもよりますが、飲食業界で週5日勤務しながら試験対策を進めるなどして、安定した収入を確保しながら学習に取り組めます。経済的な負担を抑えたい方は、働きながら調理師免許の取得を目指すのがおすすめです。

実務経験を活かせる

実務経験を活かせる点も、働きながら調理師免許を取るメリットの一つです。調理師免許を取得するためには、知識だけではなく実践的な調理スキルも求められます。現場で日々業務にあたることで、専門学校だけでは身につかない臨機応変な対応力やスピード感が身につくでしょう。

なお、仕込みから調理、盛り付けまで一連の実務経験は、免許取得のためだけではなく、調理師になったときにも大いに役立ちます。

スキルアップにつながる

働きながら調理師免許の取得を目指すことは、日々の業務と学習が相乗効果を生み、スキルアップに直結しやすいメリットがあります。調理師試験のための学習では、栄養学や衛生管理などの専門知識を体系的に学ぶことが可能です。これにより、実践的なスキルと知識の両面を強化できます。

たとえば、栄養学の知識を活かしてバランスの良いメニューを考案したり、衛生管理の知識を用いて厨房環境を改善したりできるでしょう。働きながらの学習は、免許取得だけではなく、調理師としてのスキルを高めることにつながります。

働きながら調理師免許を取る際の注意点

働きながら調理師免許を取るために仕事と勉強を両立することは、決して簡単ではありません。ここでは、働きながら調理師免許を取る際の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。

仕事と勉強を両立する必要がある

働きながら調理師免許の取得を目指す場合、仕事と勉強を両立する必要があります。独学で調理師試験を受ける場合、勤務後の疲労や休日出勤などを理由に勉強が後回しになってしまうと、計画どおりに試験対策を進められなくなるため注意が必要です。

調理師試験は年に1回のみ実施されているため、対策が不十分だと免許の取得が1年先送りになる可能性があります。働きながら調理師免許を取る場合、仕事の忙しさに流されないよう、学習時間を確保する仕組みづくりが大切です。

業務内容によっては受験資格として認められない

飲食業界で働いていても、業務内容によっては受験資格を満たせない場合があります。調理師試験を受けるためには、2年以上の実務経験が必要です。しかし、以下の場合は調理業務に従事していたとは認められません。

• 調理品の運搬、配達、食器洗浄等に従事している場合
• 栄養士、保育士、看護師及びホームへルパー等の職種として採用されている場合
• 料理学校等で調理実習指導等に従事している場合
• 会社や研究所等で食品開発業務の一環として従事している場合
• 食品衛生法による営業許可を受けていない施設で従事していた期間
• 菓子製造業又は喫茶店営業の許可のみを受けた営業施設で従事している場合
• 飲食店営業の許可を受けた営業施設であっても、主にケーキやデザート類およびパン製造の業務に従事している場合
• 外国の飲食店で従事している場合
• 高校在学期間中に従事している場合（定時制・通信制課程の場合は認められる）

調理師法が定める施設に勤務していても受験資格として認められなければ、あらためて経験を積む必要があります。そのため、働きながら調理師免許の取得を目指す場合は、勤務内容を確認した上で雇用契約を結ぶことが大切です。

参考：公益社団法人調理技術技能センター『令和7年度調理師試験』

心身の負担が大きくなって挫折しやすい

働きながら調理師免許の取得を目指すことは心身への負担が大きく、挫折の原因になりかねません。調理業務は基本的に立ち仕事が中心で体力を消耗します。疲れている状態で勉強時間を確保しても、集中力の維持が難しく、負担が大きくなりがちです。

疲労が蓄積したり睡眠不足の状態が続いたりすると、本業に支障が出るだけではなく、免許取得のためのモチベーションも下がる可能性があります。働きながら調理師免許を取る場合は、自分の働き方に合わせて無理のない学習計画を立てることが大切です。

飲食業界で働く人に調理師免許の取得をおすすめする理由

そもそも調理師免許を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、飲食業界で働く人に調理師免許の取得をおすすめする理由を解説します。

年収アップが見込める

調理師免許を保有していると、年収アップのチャンスが広がります。就職先によっては、調理師免許の保有者に資格手当を支給しているほか、無資格者と比べて昇給や賞与の支給において評価が高くなる傾向にあるためです。

たとえば、同じ調理業務に従事していても資格手当の有無によって月々の給与で数千円から数万円の差が生まれるケースも考えられます。また、調理師免許の保有を昇進の条件にしているケースもあるでしょう。飲食業界で働く人にとって、調理師免許の取得は安定した収入と長期的なキャリア形成につながります。

転職で有利になる

調理師免許は、転職市場での競争力を大きく高めます。調理師免許があれば、実務経験に加えて専門知識を保有していることの証明になり、即戦力として採用されやすいからです。

調理師免許の保有が必須条件の求人もあるため、転職時に応募できる選択肢が広がります。調理師としてできるだけ自分が希望する条件で働きたいと考えている場合は、免許があると転職活動を有利に進められます。

信頼性を高められる

顧客からの信頼獲得にも役立つことも、調理師免許の取得をおすすめ理由の一つです。「調理師免許の保有者が調理している」という安心感は顧客の信頼を高め、職場への貢献にもつながります。

たとえば、病院や学校給食など衛生基準が厳しい現場では、免許保有者が在籍していることで安全性のアピールが可能です。また、ブライダル業界や飲食店であれば、ブランド価値を高めて集客効果を見込めるケースもあります。

飲食業界において、顧客からの信頼はリピーターの獲得や事業の成長に欠かせない要素だといえます。

まとめ

働きながら調理師免許を取る方法は、「実務経験を積んで調理師試験を受ける」「専門学校を卒業する」の2つです。どちらの方法も収入を維持しながら学べるため、経済的な負担を軽減できます。一方で、仕事と勉強の両立による時間的な制限や、体力的に負担がかかる点は理解しておきましょう。

いずれにせよ、飲食業界への就職を考えている段階であれば、これから学校に通うよりも実務経験を積んだほうが効率的に調理師免許を取得できます。将来のキャリアプランも考慮しながら、無理のない方法で調理師免許の取得を目指しましょう。

飲食業界専門の新卒求人サイト「エフラボ」では、調理師を含めた幅広い業種の求人情報を取り扱っています。飲食業界への就職を目指している方は、ぜひご活用ください。