飲食就活生のエフラボトピックス

エフラボ
ここが、ぼくの店。
お店を経営するってどんな感じなんだろう。気になる開店費用や、そのモチベーションとは?
オーナーさんに直接、お話を聞いてきました。
武元 利親さん
代表取締役 / 株式会社 フルルドレーヴ
1984年生まれ、山口県出身。料理人を目指し、食品科学科のある田布施農工高校に入学。アメリカで飲食店を営む叔父のすすめで17才にして、パリのコルドンブルーに短期留学。その後、フランスの星つきレストラン3店舗で経験をつみ、21才で帰国。31才で恵比寿「SAKE BISTRO Na-Na」、そして2019年、自身2店舗目となる「TSURUMI DINING」を開店。

「TSURUMI DINING」はどんなお店?

ひとことでコンセプトを表現すると“みんなの集いの場所”。店内はアメリカンダイナーの雰囲気を漂わせながらも、料理はイタリアンテイスト……というエンターテインメント性を持たせたのもこだわり。鶴見には男性向きの居酒屋が多いので、女性が行きたくなるようなおしゃれな空間を意識。普段使いからデートまで、幅広いシチュエーションに対応。

業   態:イタリアンとアメリカンの融合。ピザとグリル料理が中心。
土 地 柄:居酒屋が多く、男性客の多い土地柄
客 単 価:昼1000円〜1500円 夜3000円〜5000円
ターゲット:鶴見をこよなく愛する、地元の人々

なぜ、独立しようと思ったんですか?

 料理人1本で人生を歩んできた武元氏が独立しようと思った理由は『子供ができて自分のやりたかったことを考え直したから』。
「10代のときアメリカでダイナーを営む叔父に、料理人になりたいか、経営者になりたいかは自分で選べ……と言われたんですが、その問いに再び向き合った結果、今までの経験をいかして、働く人が辞めないですむ会社、つまり人をちゃんと守れる会社を作りたい、という答えが出て、そこに向かって進みました」

お店をつくるのにいくらかかりましたか?

物件取得費▶300万円〜400万円
厨房機器費▶1500万円(備品含む)
内装・外装費▶2000万円〜2500万円
スタッフ募集費▶50万円
内装は、ビルのオーナーでもある井戸端チームと一緒にデザイン。居心地のいい、広々とした空間づくりをするために、天井は高く、窓は大きく……を1番のポイントにしている。

オーナーの楽しさってなんですか?

 10代のときから日本を飛び出して、料理人として飲食の世界で生きてきた武元氏。今では、ほとんど厨房に立つことはなく、オーナーとして恵比寿の「SAKE BISTRO Na-Na」とここ「TSURUMI DINING」の2店舗の経営を行なっている。では、オーナーの楽しさとは一体なんなのか……?

「2店舗とも人のご縁があって、お店をオープンすることができたんです。1店舗目のオープンからずっと厨房で料理を作ってきましたが、会社としてより成長していくためにも、今は厨房には入らず、経営に集中しています。オーナーならではの楽しさは、スタッフがここで働きたいと思ってくれて、お客様がここに来て食事をしたいと思ってくれること……それが全てです。お客様がうちのお店で食事をして、満足していただけた結果がお金という形で残っていくので、それをうまく運用していくのも素直に楽しい。売り上げが良ければものすごく嬉しいし、逆に悪ければとことん落ち込むし、それをダイレクトに感じられることが楽しさだと思います」

そして、武元氏には、料理人を経験したオーナーだからこそ気をつけていることがある。
「料理を教えることはあっても、厨房には入らない。僕が厨房に入ると、みんながNОと言えなくなって、ワンマンな会社になってしまう。スタッフたちの考えを尊重したいからこそ、僕は厨房には絶対入りません」
最後に、今後の目標と、本誌を読む学生たちにメッセージをもらった。

「目標は、今、働いているスタッフが次のステップにあがれるような環境づくりをすること。3店舗目を展開するなら、シェフは外部からとらず、今ある2店舗の中から選びたいと思っています。自分自身の目標としては、もっと仕事もプライベートも安定できるような状態にしたい……ということですね。学生に伝えたいメッセージは、飲食の世界でオーナーになると自分の仲間の存在がとにかく大きい。そして、横のつながりも深いので、いろんなご縁が増えるんです。すべてがご縁だと思うので、ひとつひとつの出会いを大事に進んでいって欲しいですね」

TSURUMI DINING ツルミダイニング
神奈川県横浜市鶴見区豊岡町20-8 idobata bld 2F ☎045-717-9287 
■公式HP

2020年2月掲載

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