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フードサービスの未来論
外食産業マーケティング研究の第一人者が
学生へ送るメッセージ

 この雑誌を手にしているあなたは、まだまだ行く手に大きな「未来」が広がっている。そういう時期、年令に違いない。「未来」には、限りない可能性もあるだろうし、また同じくらいの不安もあるだろう。今年55才になる私もかつて、同じ道を歩いた。

 私が大学を卒業した1986年、フードサービスは成長業界と言われ、その産業を牽引する会社は優良企業と呼ばれた。いわゆる一流大学の卒業生が特に違和感もなく、フードサービスチェーンを展開する企業に就職を決めていった……。と書けば、それから30年が経った今、それこそ「隔世の感」を覚えるはずだ。

 私はフードサービスの「未来」を考えるとき、若い人たちの行く手と同じく、限りない可能性と不安を感じる。まず、「可能性」。ひとりにつき1日3回、放っておいても需要が発生しうる仕事など、ちょっと他に考えられない。単純に考えて1億人の人口があれば1日3億回、需要が発生しても不思議ではないわけである。

 そしてフードサービスは、実は就職先として絶大な人気を誇る業界である。「?」と思うのは大学生や社会人で、小学生の子供たちにアンケートをとれば、男女とも、「将来つきたい仕事」として、「食べ物屋さん」や「お菓子屋さん」は上位ランクインの常連である。実際、専門学校やクッキングスクール、料理教室はいくつあるのか数えきれないほどだし、家庭の主婦の仕事として「お料理教室」は非常に人気が高い。

 また「シェフ」や「パティシェ」はテレビドラマでも頻繁に主人公として登場し、もはや「陽の当たる職業」と言って差し支えないほどである。日本の料理は世界的にも人気が高いし、オリンピックを控えて市場規模もますます膨らむと予想されている。

 フードサービスには他の業界も羨む、明るい「未来」が開けているはずである。

 その一方で、私の思う「不安」の部分がある。ふつうフードサービス産業といえば飲食店チェーンのことで、アルバイトとして大量の高校生や大学生を雇っている。すなわち、就活生の多くがそこで実際に働いた経験を持っているわけで、そういう業界はちょっと他に例がない。そして現実に働いているにもかかわらず、フードサービス業界は就職先として人気があるとは言いがたい。これはたいへんな問題である。

 そうなってしまったのは、フードサービス業が「売上高や利益、店舗数の拡大、あるいは株価の上昇」を目指してきた結果、そのビジネスフォーマットが曲がり角を迎えてしまったせいではないか。子供の頃、目を輝かせて「食べ物屋さん」や「お菓子屋さん」になりたいと思った、その夢を叶える場所と、現実の「企業」が離れてはいないだろうか。

 逆に言えば、本来は限りない「可能性」にあふれた業界なのだと気づき、ビジネスを再構築していく会社であれば、まだまだ優良企業、成長企業となれる可能性は大いにあるし、スターバックスなどはその一例だろう。そしてディズニーランドやUSJのような人気テーマパークでは、フードサービスがきわめて重要な役割を担っているし、就職先として人気が高いホテルやブライダルはフードサービスと切っても切り離せない、あるいはフードサービス部門が主役級の存在感を示している業界であろう。

 フードサービスには間違いなく「未来」がある。それに気づき、今までのフードサービス・ビジネスと一線を画する挑戦をはじめた会社であれば、人生を賭ける価値はあると思う。そしてフードサービスの未来は、あなたがその中で働きながら共に創りあげていくものである。1日3億食、いや世界を相手にすれば、何百億食というチャンスのある仕事。そう考えて、身震いするようなやる気がわき上がってくるなら、あなたとフードサービスにきっと未来はあると信じている。

横川 潤食評論家であり、外食産業マーケティング研究の第一人者。アメリカ有名グルメガイド『ザガット・サーベイ』を翻訳し日本で初めて紹介。また『東京最高のレストラン』の企画立案等などでも知られる。現在は文教大学国際観光学科准教授(フードサービス・マーケティング論)ほか、海外日本食レストラン普及振興機構(JRO)委員、日本フードサービス学会副会長を務める。

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